元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
いつも自分(エレノア)にしてくれるエスコートと比べて、やや扱いが丁寧な気がして少しだけモヤッとする。
そんな私の些細な変化に気づいたのか、
「…ノア?急に立ち止まってどうかした?こっちの席開いてるよ」
と、声をかけてくるノエル。
「なんでもないわ。ほんとだ、窓側の席が開いてるなんて珍しい。景色も見れるから人気の席なのに…」
パタパタと、席に近づきながら驚く私を見て、
「ほんと、ラッキーだね」
と、ノエルは小さく微笑んだ。
私も結構このお店は常連なのだが、この席はいつもすぐに埋まっていて座れたことがない。
「天気もいいし、街並みを見ながら食べるのもいいわね」
「ほんとだね」
お互いに席につくと、すぐに店員がやってくる。
「本日はご来店ありがとうございます。こちら、すぐにご用意いたします」
それだけ告げ、深々と頭を下げ、足早に戻っていく店員の姿を見て、
…あら?注文を取りに来たんじゃなくて??
と、驚いている私を横目に、
「今日は、せっかくだから特別メニューにしてもらったんだ」
あっけらかんと、ノエルは笑顔でそう答えた。