元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
「なに?」
「えっと、その実は…私、近くこの国を離れるの。だから、あなたと会うのも今日が最後になりそうで…」
「…は?…どういうこと??」
先程までの笑顔から一変、怪訝な表情のノエルに対し、私は懇切丁寧に説明を重ねる。
「…つまりは、勉強のためにもうすぐ隣国に留学に行く予定があって、数年は戻る予定がないってこと?」
うんうんと、ノエルに向かって笑顔で相槌を打つ。
「そうなの、エルとはせっかくお友達になれたばかりで残念ではあるけれど、前から決めてたことだから」
シュンと、肩を落とす演技で私は小さく下を向く。
内心では、これでミッションクリアだとホッと胸を撫で下ろしていた。
「…わかった、勉強のためならしょうがないね。君とは仲良くなれそうだったから僕も残念だけど…また会えるの楽しみにしてるから」
「…エル、ありがとう」
よかった、本当に信じてくれたみたい。
少しだけ嘘をついたことで罪悪感があるが、バレるリスクを考えるとやっぱりこれ以上この姿で会うのはよくないものね。