元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
私の口から出た言葉が信じられなかったのだろう。
シャーロットは、目を見開いて私を見つめていた。
しかし、
「お姉様が信じたくないのはわかりますけれど、事実なのですから…」
すぐに瞳に涙をにじませ、しおらしい態度で、私の様子を伺う素振りを見せる。
「…わかったわ。そこまであなたが言うのならノエルに直接確認しに行くしかなさそうね」
そう言って、冷静にツカツカと、テラス席の出口へ向かって歩き出す私。
「そ、そんな!いきなりノエル様のところに行くなんて…失礼になりますわ」
そんな私とは対象的に、なぜか慌てたようにシャーロットは止めに入る。
「…まだ、私とノエルは婚約しているのですもの。婚約者に会いに行くのに失礼になるかしら?」
「そ、そうかもしれませんが…」