月下の少女
誰一人言葉を発さない張り詰めた空気が続く中、刻々と時間は過ぎていく。
時刻は午前3時。
シーンと静まり返る時間は思いのほかあっという間に過ぎていく。
静かな空間の中に、遠くの方から何か近づいてくる音が聞こえてきた。
ブルンブルン…
ブルンブルン…ッ!
その音はどんどん近づいてきて、微かに聞こえる程度だった音が耳栓をしても聞こえそうな程の音に変わってきた。
ここにいる誰しもが再度心の準備をし、立ち上がった。
幹部達はメンバーの前に構え、その背中は何よりも大きく頼もしい。
私は隅から動かず、その様子を傍観していた。
ここは出しゃばるところじゃない。
倉庫の前に無数のバイクとバラバラの特攻服を着たガラの悪い集団。
これが、大蛇…。
寄せ集めってことか…。
「佐久間瑞希。今日はお前を、その仲間たちを殺しに来てやったぞ。」
「仲辰夫だな。なぜこんなことをする?」
「さすが関東連合さん。俺のこともご存知なようで。なぜ?全てはお前らのせいだろ?俺は何も悪いことをしていない。復讐だ。復讐…。」
目が完全にいってるな。
薬にも手を染めてる。
何を言っても聞かないだろう。
「一般人に手を出したのはなぜだと聞いている。」
「お前らが俺をサツに突き出した時と同じことをしたまでだよ。5人は捕まったが、俺は捕まってねぇ。前と同じヘマはしねぇよ。」