追放されたチート魔導師ですが、気ままに生きるのでほっといてください
「そ、そうだねえ、最高だねえ。ぺリュトンは昨晩僕も見たからよく知ってるよ。あはは」

 必死に隠していた感情が漏れ出し、次第に笑顔がひきつっていく。

 魔獣を食べるのはそれほど珍しいことではない。魔獣の肉は天然の野生鳥獣の食肉……つまり、「ジビエ」として取引されることがあるからだ。

 魔獣のジビエは高級食材のひとつに数えられていて、普通の獣よりも身が引き締まっていて栄養価も高く非常に旨い。

 ──なのだが、魔獣ジビエが世間一般に出回ることはそうない。

 適切な処理をしなければ魔獣の肉に蓄積されている魔力にあたってひどい「食あたり」を起こし、命を落とすことになるからだ。

 故にクロエは、そんな魔獣の肉を使ったジビエ料理が大の苦手だった。 

「あのさ、プリシラ」

 クロエに助け舟を出したのは、プリシラの肩に乗ったルルだった。

「多分クロエはもっと根本的な部分に拒否反応を示してるんだと思うんだよな」

「根本って何よ?」

「なんていうか、料理の種類っていうかさ」

「種類って……流石にこの状況で保存食が嫌だっていうのは贅沢じゃない?」

「いや、そこじゃない」

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