追放されたチート魔導師ですが、気ままに生きるのでほっといてください

「じゃあ何よ？　まさか、あたしが作った料理が嫌だってこと？」

「ああもう、めんどくさいな！　クロエは魔獣のジビエ料理が嫌だって言ってるんだよ！」　　

「はあ？」

　プリシラは心底信じられないと言いたげに、眉間に深いシワを作る。

「魔獣が嫌って……何それ。本当なの、クロエ？」

「へっ？」

　突如話を投げられて、クロエはギョッと身をすくめてしまう。

「そ、そ、そ、そんなことないよ？　ええっと……プリシラちゃんの魔獣ジビエ料理って、なんていうか、最高！」

「……だよね？」

　プリシラの眉間のシワが瞬く間に消えていった。

「えへへ、やっぱりクロエってわかってるよねっ！　よしよし、そんなクロエには……特別にサロだけじゃなくて、ぺリュトンのシュナップス煮もつけてあげよう！」

「え」

　さっと血の気が引いたクロエをよそに、鼻歌を奏でるプリシラの手によってライ麦パンにヘンウェンの脂身とぺリュトンのもも肉がこんもりと乗せられていく。

「……まあ、プリシラは料理の腕だけは確かだから安心して食べろよ」

　小さくため息を漏らすルル。プリシラはむっと唇を尖らせる。