追放されたチート魔導師ですが、気ままに生きるのでほっといてください
 笛の音を聞いた獣の思考回路を一時的に停止させることができる「獣止め」は、「狩り人」が狩りをする際に獣の足止めとして使うことがある。

 こういうシチュエーションで使ったことはなかったが、プリシラの目論み通りバジリスクの動きはぴたりと止まった。

「クロエたちはここにいて」

「う、うん」 

 クロエたちを残し、プリシラがゆっくりと少女の元へ向かう。

 少女は愕然とした表情で、ぴたりと動きをとめたバジリスクを見上げていた。

「そのままちょっと待っててね。先にこの子を大人しくさせるから」

 プリシラがバジリスクの体に手を伸ばす。

 手のひらが柔らかい羽毛の中に埋もれていき、すぐに暖かい皮膚に触れた。

「これでよし……っと」

「あっ、あのっ」

 少女が声を絞り出すように訊ねてきた。

「い、一体何を……?」

「もう心配はないわ。この子があたしたちを襲うことはないから」

「お、襲わない? で、でもその鳥は凶暴な魔獣で──」

 と、そのときだった。

 少女の言葉を遮るようにバジリスクが再び甲高い声を上げ、大きく翼を広げた。 

< 23 / 85 >

この作品をシェア

pagetop