追放されたチート魔導師ですが、気ままに生きるのでほっといてください
 プリシラの「獣止め」の効果が切れたのだ。

「ひっ」 

 少女が悲鳴を漏らし、慌てて這いずりながら逃げ出す。

 だが、プリシラはその場に立ち止まったまま逃げようとはしなかった。それどころか、あろうことかバジリスクに再び手を差し伸べる。 

 少女はその光景に言葉を失ってしまった。

 危険な魔獣が、まるで懐いてくるようにプリシラに体を寄せ、彼女の手に蛇の尻尾を擦り付けてきたのだ。

「大丈夫よ。こうやって尻尾を擦り付けてくるのは、友愛の証拠なの」

 プリシラはバジリスクの体を撫でながら微笑む。 

「バジリスクって鳥じゃなくて蛇の魔獣なの。この尻尾みたいな蛇が本体で、雄鶏の部分が尻尾ってわけ」

 つまり、蛇の部分がバジリスクの急所にあたる。こうして無防備に急所をさらけ出すのは、相手を信頼している証拠なのだ。

 プリシラは「いい子、いい子」と嬉しそうにバジリスクを撫でる。

 そんなプリシラを呆然と眺める少女。

「とりあえず、この子はもう大丈夫だから、今のうちに行って」

「……え? あ、は、はい」

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