追放されたチート魔導師ですが、気ままに生きるのでほっといてください
「いや、了承すんなよ。止めろよ」

「はあ、あのときのプリシラちゃん、可愛かったなあ……」

 思い出の一ページをめくり、にへらと頬を緩めるクロエ。

 そんなクロエを見て、ルルは「はあ」とため息を添えて言ってやった。

「前から思ってたけどさ、お前って……本当に悩みがない幸せな人生を送ってそうだよな」 

 

  ◆◇◆ 

       

 クロエが教えてくれたとおり、森を出てすぐに農村が見えた。

「結構大きな村じゃない?」

 感心したようにプリシラが言う。

 小川のほとりに建てられた小さな水車小屋の周りに広がる広大な農地は、綺麗に三分割されている。黄金色の作物を収穫している区画と、牛馬を使って耕している区画。それに、家畜を放牧している区画があった。

 その農地の片隅にいくつか家屋が見えた。家屋の中心にある大きな建物は教会と酒場だろう。

 これくらいの広さの農村には大抵酒場が存在する。酒場は住人たちが集まり、酒を片手にトランプなどの娯楽に興じる場所なのだ。

 そんな酒場は、食事や酒を出す以外にも日用品を売る「よろず屋」としての顔も持っている。

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