追放されたチート魔導師ですが、気ままに生きるのでほっといてください
 ブリューゲンは、三つの国を跨ぎ、四つの傭兵団と五つの船舶団を抱える商業ギルドだ。そんな世界有数のギルドにとって、魔王による侵略戦争は死活問題だった。

「近々ブリューゲンの商団がここに来る予定だが、いつになるかわからん。だから村の人間以外に物を売るのを村長から禁止されてる。旅の準備をするなら……そうだな、アメリアあたりに行け」 

「ア、アメリア? 今からですか?」

「何? アメリアって遠いの?」

「そこに流れている川の上流にある町だよ。歩いていくとすると……半日はかかる」

「は、半日!?」

 まだ日は暮れていないとはいえ、一時間もすれば空は淡い藍色に染まるだろう。これからアメリアに向かうとなれば、どこかで野宿することになる。

 ここにきて、野宿なんてまっぴらごめんだ。

 そう考えたプリシラはクロエを押し退けて店主に詰め寄る。

「ね、ねえ、買い物はいいから、宿だけでも貸してくれないかしら? 明日になったらそのアメリアってところに行くからさ。ね?」 

「部屋に空きはない。商人が泊まっているからな」          

「あっ……」

< 43 / 85 >

この作品をシェア

pagetop