追放されたチート魔導師ですが、気ままに生きるのでほっといてください
 それはそうだとプリシラは納得してしまった。

 街道を封鎖されて他の町で立ち往生しているなら、商談に来た商人が村で立ち往生していても不思議じゃない。

 村からすれば商人は貨幣を持ってくる大切な客。一方のプリシラたちは得体の知れないただの旅人だ。どちらを優先するかと問われれば、答えは明々白々。

 プリシラはどうにか説得できないものかと言葉を探したがこれといって名案は浮かばず、引き下がるしかなかった。

 結局、このまま野宿するしかないのか。

 プリシラがそう思い始めたとき──

「待って」

 カウンターの奥から放たれたのは、聞き覚えのある少女の声だった。

 つぎはぎのシフトに栗毛の髪。森で助けたあの少女だ。

「部屋は用意しますので、どうぞお泊まりください」

「お、おいパナム、何を勝手に──」

「恩人を追い返すなんて、聖道神ムハウ様のバチが当たるわよ、父さん」

「……っ!?」 

 店主がギョッと目を見開いて、パナムと呼ばれた少女とプリシラたちを交互に見る。

「ま、まさか、こいつら……いや、この人たちが森でパナムを助けてくれた聖女……様?」

< 44 / 85 >

この作品をシェア

pagetop