追放されたチート魔導師ですが、気ままに生きるのでほっといてください
 渡鳥のように大陸を渡って飛ぶことがあるため、長距離飛行のための脂を多く蓄えているのだ。

 そのローストなのだから、旨くないわけがない。

 噛むたびに脂のコクと香りが口の中に広がり、手が止まらなくなる。

 ──まあ、馴染みがない人間にとっては、魔獣ジビエ料理は「食べれば死ぬかもしれない悪魔の料理」に思えてしまうのだが。 

「ハ、ハーピーって、魔獣を使った料理なんですか!?」

「そうよ。パナムが言いたいことはわかるけど、ちゃんと下処理はしてあるから怪我人に食べさせてみてよ」   

「……」

 怪我を負った男とパナムが不安げに顔を見合わせる。

 と、旨そうな香りに誘われて、男の腹が鳴った。夜明け前から森に入っていたので朝から何も口にしていないのだろう。

 男はしばらく葛藤していたが我慢できなくなり、恐る恐るローストを口に運んだ。途端に、驚愕するように目を丸く見開く。

「……こっ、これは」

 最初の一口はおっかなびっくりだったが、二口目はガブリと食らい付いた。 

「う、美味い!」

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