追放されたチート魔導師ですが、気ままに生きるのでほっといてください
「え? え?」

 さっとクロエの顔から血の気が引いていく。

「ちょっと待ってプリシラちゃん言ってることがわからない」

「ほら、怪我人の治療ができないって聞いたから、あたしの味覚魔法で治療してあげようと思ったわけ。でも調理場のかまどの火力があまり高くなくてさ。時間がかかりそうだったから、魔力が宿ってるあの鉱石を入れて一気に火力を──」

「ええええええっ!?」

 部屋にクロエの叫び声が轟いた。

 怪我人と看護人たちの視線が一斉にプリシラたちに刺さる。

「な、何よ、突然」

「かまどに入れちゃったの!?」

「い、入れたわよ。それが何よ?」 

「あれは……街で売れば金貨二枚はくだらない、超希少な鉱石だったのに!」

「……はぁ!?」

 思わす頓狂な声をあげたのは仕方がないことだろう。

 なにせ、金貨は一枚あれば一ヶ月は楽に暮らせる額なのだ。

 北への旅を始めるプリシラにとっては喉から手が出るくらいに欲しい金額だ。

「ばかっ! なんでもっと早く言わないのよ! 全部かまどにぶっ込んじゃったじゃない!」

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