青に抱かれて




どうやら、イタリアでは昔、金融関係、建設業、公共事業、日曜の市場の屋台の場所から商店街の店の権利に至るまで、マフィアが関わっていて、彼らが行政の役割を担っていたらしい。




「今はもう全然いないから、安心して!」

「……う、うん」

「それより、ベネチアのおすすめのレストランやカフェ教えるからぜひ行ってよ。ああ、私も久しぶりにベネチアに里帰りしようかなぁ」

「そうだよ、一緒に行こうよ」

「頑張って有給申請してみるわ。それにしても、あんた方向音痴なんだから気をつけなさいよ。ベネチアの道、結構複雑だし迷子になりやすいし」

「大丈夫大丈夫」

「ナンパとかされても付いてっちゃだめだからね」

「……いや、されないと思うけど」

「ああ、なんか色々不安だわ」

「あ、でも安心して。向こうに、お母さんの知り合いが住んでて、その人からも『なにかあったらいつでもおいで』って言われているし」

「あら、知り合いいるの?」

「うん、私も小さい頃に一度だけ会ったことがあって、それ以来メールでずっとやり取りしているの」

「まあ、それならいいけど……、まあとにかく着いたら連絡してね、絶対」



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