青に抱かれて
「お嬢さん、観光客でしょ?どこから来たの?」
頭の中で警鐘が鳴っている。
関わらないほうがいい。
ささっと踵を返して、逃げよう。
あたりには誰もいないから、助けてもらえる状況でもない。
ーーとにかく人通りの多い路地…!
用心すべきだった、と後悔も後の祭り。
今は逃げなきゃ、と全速力で走り出す。
「おいおい、逃げることねぇだろ」
後ろから彼らが追いかけてくる足音が聞こえてきた。
もつれそうになる足。
額を流れるように伝う汗。
心臓が痛い。
息が苦しい。
「ハァハァッ…‼︎」
必死に頭の中で、ここらへんの地理を思い出そうとするけど、もうすでに今自分がどこを走っているのか分からない。
確かこっちから来たと思ったのに、どの道も似過ぎていて、細い複雑な路地はまるで迷路のようだ。
(ーーやばい、キツイ)