青に抱かれて
「今回の報酬の半分は前払いの契約だから、もう口座に振り込んでおいた」
「あ、ありがとうございます」
「残りは、依頼完了時に振り込んでおこうと思ったけど、事前に手紙で送ったとおり、今回の依頼内容は君にとってもイレギュラーのことだと思うから、鑑定をお願いするたびにその都度払うことにするよ」
「え、でも、今回はすでに提示いただいてる金額だけで充分だけどーー」
今回の依頼報酬は、過去最高の数百万円。
そんな大金をいただくには理由がある。
それは依頼内容が「ブラックダイヤモンドを見つけることに協力してほしい」というものだからだ。
通常の依頼であれば、宝石の鑑定のみであったり、宝石に関する相談や悩みであったり、時にはデザイン加工も依頼される。
だけど、今回はいつもと状況が違う。
ブラックダイヤモンドとは、幻の宝石で、その価値は500億円以上とも言われている。
艶やかな黒光りするその宝石は、ブラックダイヤモンドは悪魔も欲しがると言われるほど、強いパワーに満ちた石で、多くの人を虜にしてしまう。
そのブラックダイヤモンドが、とあるコレクターによって地下経済で売り捌かれるという噂が流れているらしい。
しかし、厄介なことにブラックダイヤモンドには人工物・偽物が多く流通している。
宝石加工技術が発達した現代において、本物と区別がつかないほどの高いクオリティのものがある。