青に抱かれて
「あー、スーパーで買うもの考えてまして…」
「ああ、必要なものあればホテルのフロントに言って。全部こっちで準備しておくから」
「さすがにそれは申し訳なさすぎます。あんな豪華なホテルの宿泊料も申し訳なくて……ビジネスホテルとかで全然大丈夫なんですが」
「……女の子にそんなところ泊まらせるわけにいかないよ」
困ったように肩をすくめる彼。
会話が途切れて、沈黙が訪れた。
楽しそうな観光客の談笑を聞きながら、ふと思い出したことがあった。
「あ、じゃあ知り合いの家に居候するっていうのはいいですか?」
「知り合いの家?」
「はい、ジュエリーデザイナーだった私のお母さんの師匠なんですけど、ジュエリー専門店を営んでいて、私がベネチアに行くって連絡したら、その人から空き部屋あるから居座ってもいいって連絡きたんです。
ロナウドさん一人で住んでいるから、あ、その人ロナウド・ハミルトンって言うんだけど」
「ああーー、”Lindou”のオーナーか」
「え、知ってんですか?」
「俺の母がロナウドさんのジュエリーデザインのファンで、常連だったから、俺もよく遊びに行ってた」
「え!ほんと!?」
「ほんと」
ーーすごい偶然!