白鳥とアプリコット・ムーン ~怪盗妻は憲兵団長に二度娶られる~

「そう考えるのが妥当だよな。だけど、その例の毒薬を調剤できる人間は、限られている。オリヴィア・リヴラもまた、容疑者候補として名を連ねている」
「そんな……オリヴィアが陛下を殺そうとするなんてありえない!」
「そこで、だ。今回の事態を受けて皇太子フェリックスさまが動き出した。愛する妻の無実を証明するため、そして古代魔術の貴重な知識を悪用しようとしている輩を成敗するため」
「……?」

 犯人の目星などとっくについているのだとジェイニーは不敵に笑う。けれどそのためには犯人を炙りだす必要がある。
 そこで、ローザベルとウィルバーに協力してほしいのだとジェイニーは懇願する。


「このようなことを頼むのは心苦しいが。ローザベル・スワンレイク……もういちどだけ、怪盗アプリコット・ムーンになって、“稀なる石”を盗んでくれないか?」
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