白鳥とアプリコット・ムーン ~怪盗妻は憲兵団長に二度娶られる~
アイカラスは解析された薬の結果を知ってふたたび花の離宮へ閉じこもったウィルバーと眠りつづける怪盗アプリコット・ムーンを想い、彼なら任せて大丈夫だろう、ついでに孕ませて今度こそ捕まえてしまえと心の中でどこか投げやりに叫ぶ。透視術をつかえるジェイニーとダドリーがこの場にいなかったのが救いである。
「……ところで、この事態をどう収束させるのですか」
「憲兵団長ウィルバーを攫い監禁し謀反を企んだたタイタス・スケイルは怪盗アプリコット・ムーンによって成敗された。ウィルバーによってタイタスは王城へ連行されたが、その場で実の姉オリヴィアによるリヴラの秘薬を飲まされ廃人となった後死亡、とでもしとけ。ついでに怪盗アプリコット・ムーンもその際タイタスによる攻撃で命を落とした、ということにしよう」
怪盗アプリコット・ムーンの処刑を望んでいた国民には申し訳ないが、彼女は国家の危機を救った救国の乙女なのだ。名誉の死を国民に伝え、国家を愚弄したという彼女の汚名を雪がせればよい。
恩赦という考えもあったが、それまでの時間が惜しいし、怪盗を生かしたままにすることを快く思わない人間たちの反発も考えられる。