白鳥とアプリコット・ムーン ~怪盗妻は憲兵団長に二度娶られる~
ローザベルとウィルバーと結婚初夜をもう一度

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 薔薇の花びらが舞い散る濃緑色の敷布の上で、全裸に剥かれたにも関わらず、寝台のなかのローザベルは相変わらず深い眠りのなかにいる。
 ウィルバーは改めて彼女の全身を舐めるように見つめ、自分がつけた接吻の痕を指先で辿りだす。
 首筋から肩、胸にかけてのラインと、左右の胸の膨らみを横に走るラインが交差していて、まるで白鳥座の星座線のようだ。臍から右太ももにかけて四角い山のような形を作っているのは天秤座。背中に数えきれないほど刻んだ薔薇の花のようなキスマークは、治りかけの背中の傷を中心に双子座みたいな形をしている。
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