白鳥とアプリコット・ムーン ~怪盗妻は憲兵団長に二度娶られる~

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 ひとあし先に戻っていたダドリーと何事もなかったかのように挨拶した後、ローザベルはオリヴィアが準備させたお茶の席にまじることになった。
 家は違えど故郷の同胞が泊まりに遊びに来たと信じているオリヴィアは、ローザベルに新しく作ったという紅茶を自ら淹れて、お喋りに花を咲かす。

「ローザベルも災難ね。あの怪盗アプリコット・ムーンが自分の暮らしている花の離宮に現れるなんて。さっき王城所属の憲兵団が現場へ向かったみたいよ。女怪盗ひとり捕まえるのにあんなにたくさん軍隊みたいに準備しちゃって滑稽だと思わない? だけどそれだけ今回は団長さんが本気なのかもね。なんせ貴女が暮らしているお城を狙っているんですもの。国民からも騒がれているグラマラスな美人怪盗をやっつけられるのか、見ものよねぇ」

 ほのかに甘味のある紅茶からは、芳醇な薔薇の香りがする。香水にも使われるダマスクローズのつぼみをふんだんに使ったのだとオリヴィアは誇らしげに教えてくれた。
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