木沢彰吾、禁煙を決意する 『恋に異例はつきもので』おまけSSその1
「香穂ちゃんが生まれたのは?」
「24歳のときだ。もう信じらんないほどちっちゃくてな」

 それまでは赤ん坊なんて、まったく見たことも触ったこともなかった。

「で、生まれてはじめて、愛おしいって感情が湧いてきた。で、心を入れ替えなきゃと思ってな。真面目に仕事もするようになった。こいつに恥じない生き方をしなきゃなと。俺、父親でもなんでもないのにさ」

「彰吾さん……」
「ん?」

 花梨は顔を上げて、俺をじっと見つめる。
 つぶらな黒い瞳を目いっぱい見開いて。
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