天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~

「そんなこと気にしないでください」
笑顔でそう答えられたが何か用事があったのは一目瞭然だ。それを答えたのは今まで特に口を開いてなかった早乙女先生だった。

「お前、今日彼女の誕生日だっていってなかったか?」
「俊弥! 言わなくてもいいだろ!」
普段仲が良いのが伺えるそのやり取りが微笑ましくて、私はクスリと笑い声をあげた。

「望月先生、早く行ってあげてください。私だったら寂しいですよ。誕生日に彼がいなかったら」
「しかし……」
躊躇する先生に、私はバッグからスマホを取り出す。

「私も主人に電話するので」
自分の口で“主人”というのは初めてで少し緊張してしまったのは仕方がない。
しかし、そんなことを気にする様子もなく、望月先生は言葉を続ける。

「大丈夫ですか? 僕、ご主人にお詫びを……」
まだ続ける望月先生に、私はぴしゃりと言葉をかける。

「早く行ってあげてください」
そんな私にギュッと唇を噛むと望月先生は頭を下げた。
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