天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~

「え?」
その丸くて小さなものを手にして、私は今度こそ息が止まるかと思った。
それはシルバーのシンプルな指輪で、箱にも何も入っていないがいかにも大切な物だと思う。

そして、それが明らかに女性のサイズだったのだ。見なければいい。見ちゃダメ。
そう思うのに私は、その指輪の中の文字に視線を落とす。

Dear Haruka To R

どう見ても女性の名前で、明らかに送ろうとしていたものだとわかる。

そして、その時昔、龍一郎さんが表情を崩して『俺を頼れ』そう言っていたのを思い出す。
龍一郎さんには本当は、思っている女性がいたのを知っていたのに。しかしその人は手に入らない。だから私のこの馬鹿な話に乗ったのだ。

すべてがストンと腑に落ちた。最後まで抱いてくれないのもきっと大切な人に操をたてているのかもしれない。
初めての夜も私と関係をもっていないのだろう。
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