天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~
「なんでそんなこと」
零れ落ちた言葉に、龍一郎さんは私を抱き上げると助手席へと座らせる。
そしてそのままギュッと私の頭を自分の肩へと埋めた。
「なんでって、仕事よりも何よりも佐知が心配だったから」
「嘘……」
つい否定的な言葉がこぼれるも、こうしてここにいてくれることが全てだろう。
「ごめんなさい。ありがとう」
素直に言葉をかければ、龍一郎さんが大きく息を吐くのがわかった。
「頼む佐知。きちんとすべて説明するから。夜まで家でおとなしくしておいて」
「はい」
自然と返事をしていて、龍一郎さんの話を聞こう。私はそう決めた。
初めからいろいろ事情があったとわかっていたはずだ。私も大人げなく動揺して勝手なことをして心配をかけたことが身に染みる。