天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~
その後、すぐにでも仕事に行かなければならないだろうが、私を抱き上げて家まで戻り、ベッドに寝かすと、龍一郎さんはサラリと私の髪に触れた。
「佐知、少し眠って。顔色も悪い。痛みで眠れなかったんだろ」
その優しいセリフに私は苦笑しつつ、龍一郎さんの瞳に語り掛ける。
「痛かったのは心ですけどね」
その言葉に少し考えるような表情をした後、髪に触れていた手を頬に持ってくると、龍一郎さんは優しくなでる。
「頼むからいなくならないで」
その表情は心底不安に揺れているように見え、私はクスリと笑みを漏らした。
「大人しくしています」
そう伝えれば、ようやく龍一郎さんは安堵の表情を浮かべると、部屋を出て行った。