天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~
昨日はこの香りに包まれるのが悲しくて、寂しくて仕方がなかったが、今日こうして迎えに来てくれて温かい龍一郎さんの手の感触が今も頬に残っている気がする。
そんなことを考えていたが、薬のせいもあるのか、私はいつの間にか深い眠りについていた。
次に目を開け時計を確認すれば、もう夕方になっていた。かなり長い時間眠っていたようで、私はゆっくりと起き上がると小さく息を吐いた。
眠ったおかげで身体はかなり楽になり、足の痛みもさほどない。起きて夕食でも作ろうかと思い、部屋を出ればそこにはキッチンに立つ龍一郎さんがいた。
「佐知、歩いたらダメだろ?」
「え? 仕事は?」
慌てて私の元へ走って来ると、赤ちゃんのように龍一郎さんは私を抱き上げた。
「ちょっと、龍一郎さん。大丈夫ですって。重たいから」
ジタバタとしてしまうのは仕方がない、こうして抱き上げられるのは恥ずかしい。
龍一郎さんはそっとそのままソファに座らせると、大切な物に触れるように私の足をフットチェアーに置いた。