天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~
「佐知は悪くない。すべて俺が悪いんだよ」
静かに言うと、龍一郎さんはそっと私の涙を拭う。
「本当の父親は最低な男で、俺もその血が流れていると思っていたから、結婚なんてするつもりがなかったんだ。俺なんかじゃ誰にも幸せにできない。だから婚姻届をだせなかった」
そこまで言われ、私はギュッと総一郎さんの手を握りしめた。そんな思いから出していなかったなど想像していなかった。
「でも、佐知と一緒にいて、初めて温かさを知って、愛しい、守りたいそんな自分の感情に戸惑っているうちに、どうしていいかわからなくなって。いつか出そうと思っていたけど、俺には幸せにできないって余計に怖くなった」
騙されていた、単なる暇つぶしだと思っていた。でもそれが誤解であった事実に嬉しさが募る。しかしその考えが変わった理由はなんなのだろう。その思いで私は口を開いた。