天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~
「初めの日は正直覚えてません。でもだからこそ何もなかったって言いきれます」
そんな私に、龍一郎さんは大きくため息を付いた。
「じゃあ、この間のことは覚えているってことか……。悪い」
「どうして謝るんですか? 抱いたって嘘をつくぐらいなら、最後までしてくれても良かったのに……」
つい願望が口に出てしまったことに気づいていなかったが、唖然として私を見ている龍一郎さんに、これでは最後まで抱いて欲しいと言ったのと同じことだと気づく。
「あ、だから、ダメです! 一人で入ります!」
「佐知、待て、最後まで抱いてよかったのか?」
「何を言って……」
狼狽しつつ言えば、龍一郎さんはまたもや素直に言葉を口にした。
「俺だって最後まで抱きたかったよ。佐知はすぐに俺の箍を外すんだよ。触れたくて、抱きたくて、でも酔って覚えてない佐知を抱くなんてできなかった」
結構際どいことはしたが、それでも私の為に思いとどまってくれたことが嬉しかった。