天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~
「和泉様、ようこそお越しくださいました」
うやうやしく頭を下げるその人たちに私は驚いてしまう。
「よろしくお願いします。佐知も降りて」
その言葉に内心驚くも、ここで何かを問いかけることはできず大人しく開けられたドアから降りる。
木々に囲まれた建物は、かなり幻想的な雰囲気を醸し出していて、高級旅館だということがわかった。
いつの間にかトランクにはスーツケースが入っていたようで、ベルボーイが荷物を運んでくれる。
「離れのお部屋をご用意いたしましたので、夕食までごゆっくりしてくださいね。ここの女将の花園でございます」
四十代ぐらいだろうか、花園と名乗った和服の似合う綺麗な女将は私にニコリと笑みを浮かべた。
「ありがとうございます」
咄嗟に応えるも、私は訳が分からない。もしかして初めから計画をしてくれたのだろうか。
そんな思いでチラリと龍一郎さんを見れば、いつも通りの涼しい顔だ。