天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~

日本庭園が見える廊下を通り石畳を抜ければ、一軒の日本家屋のような離れだった。扉を開ければ広い和室に見事な絵が飾られており、モダンと和が融合した見事な部屋だった。

「ありがとう。ここで大丈夫です」
こんな高級な雰囲気に私はドキマギしてしまうが、龍一郎さんは慣れた様子でそう言うとパタンと扉がしまる。

シーンとした部屋に、いきなり二人きりになりなぜか緊張が走る。いつも家に二人きりでいてもなんとも思わないが、この空間はなぜか特別だった。
それを隠すように、私は部屋の中へと入ると口を開いた。

「こんな素敵なところを予約してくれていたんですか?」

「せっかくここまで来たんだ。温泉ぐらい入りたいだろ?」
龍一郎さんも部屋を見回した後、座椅子にゆったりと座った。

「嬉しいです」
彼の気持ちが嬉しくて、心から笑顔でお礼を伝えれば、「そうか」と少しホッとした表情を浮かべたのがわかった。彼のその少しイジワルで、不器用なところが微笑ましい気持ちだったが、目の前の障子を開けたとき、すぐにそんな余裕は消え去った。
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