天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~

見事な庭園とその横に大きな露天風呂。ヒノキだろうか、三人は余裕で入れそうなその風呂に私は動きが止まってしまう。
ここに私は入るのだろうか? もちろん中からは見えないが、この雰囲気にのまれそうだし、すぐそばで彼の気配を感じてしまいそうな距離だ。 
落ち着いて入れる? そんな自問自答をしていることをきっと龍一郎さんは知らないだろう。

「夕食前にまず風呂にするか」
その言葉にドキッとしながら振り返れば、龍一郎さんは今まで着ていた服を脱ぎ、浴衣に着替えているところだった。
わりと細く見えるのに筋肉が程よく付き、均整の取れた身体が目に入り、私は目を見開く。
一気に男の人だと意識してしまい、私はどうしていいかわからなくなった。

「あっ、えっと。私もそうしようかな。あっ、でも何も持ってない……」
そうだ、泊ることなどまったく予想していなくて私は必要なものを持っていない。

「ああ、その中見て。だいたい必要なものは入っていると思う」
そう言われた先のスーツケースを開ければ、いつも私が使っている基礎化粧品から、洋服や着替えが入っている。
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