天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~

「俺の妻になにか用か?」
初めて聞く低い声に、私までゾクリとしてしまった。しかしその”妻”その響きにドキッとしてしまう。

「いや、調子悪そうでしたよ。奥さん」
完全に龍一郎さんの迫力に顔を引きつらせると、その人たちは逃げるようにその場からいなくなった。

「ありがとうございます」
ホッとして振り返れば、握られていた腕に力がこめられ少し痛いぐらいだ。

「龍一郎さん?」
訳が分からず問いかければ、ハッとした表情のあと慌てて手が離される。

「大丈夫か?」
静かに問われ、私は小さく頷くと額に手を当てた。

「すごくいいお湯だったので、入りすぎて湯あたりしちゃったみたいで」
苦笑すれば彼は難しい顔をしていて、私は迷惑をかけてしまったと暗い気持ちになってしまう。

「そうか。部屋に戻って少し横になろう」
「はい」
まだ少しふらつく気がして、素直に従うと龍一郎さんに支えられながら部屋へと戻った。
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