天敵御曹司は純真秘書に独占欲を刻み込む~一夜からはじまる契約結婚~

しかし、そんな私たちの空気を壊すように、部屋の呼び鈴が押される。

「誰か……来ました……」
切れ切れに言うと、あろうことかあの龍一郎さんが舌打ちをする。
最後に名残惜しそうに優しく触れるだけのキスを落とすと、龍一郎さんは私の頬を撫でた。

「夕食だな。佐知はもう少し横になってろ」
小さく息を吐いた後、彼は風呂上がりでサラサラと額にかかっていた髪をかき上げ、寝室から出て行った。

初めて記憶のあるキスをした。

夫婦の上、もう身体も重ねたはずだから、これぐらい当たり前なのかもしれない。
でも、私は心臓が破裂するかと思うほどバクバクと煩い。

もはや、ごまかしようがない。私は急激に龍一郎さんに惹かれている。
もっとと浅ましくも思った自分に驚いてしまう。
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