ソーダ水に溺れる
刹那、あたしの手首を掴んでそのまま彼へと引き寄せられる。今にも滴り落ちそうな、透明にも似た水色を舌で掬ってぺろりと舐める。
「やっぱうまいね」
満足そうに二重の目を細めて、口許を緩める。
「あ、あたしのソーダ……」
「ごめん食べられたくなかった? 俺のあげるからゆるして」
そういうわけじゃないんだけどな、と思いつつも目の前に差し出されたソーダアイスに目をやる。
同じアイスなのに、あたしのとは違いもう半分以上も食べられてしまっている。
「はっ、ちょ、おまえ食べすぎっ」
かぷっと齧りついたそれは、あたしが大口を開けたせいで見事に残り少なくなってしまった。
「んー、おいしいっ」
口のなかにあまいソーダ味が広がる。一瞬にして舌の上で溶ける。瞬間、頭が冷えて思わず目を瞑った。
頭いたい……と冷たい息とともに零すあたしを見て水瀬はわらう。
「ふつーこんな食う?」
へへっ、と勝ち誇ったような笑みを見せれば視線を逸らされ、でも次の瞬間には呆れたようにこちらを見ていた。