ソーダ水に溺れる

「風呂上がりで髪乾いてないのに急に呼びやがってこいつうぜー。眠いのに呼び出されて最悪だわー。コンビニなんかひとりで──」

「えっ、ちょ、まってまって、あたしそんなこと思ってない」

「そー?」

「そうだよ」


とんだ勘違いだ。
つらつらと並べられた言葉を否定する。

まあ、あながち間違いではないところもあるけれど。


「たしかにコンビニくらいひとりで行けって言った」

「そうだな」

「髪乾いてないのも事実」

「おう」

「ほんとは眠かった」

「……正直だな」

「でも、いまは後悔してない」

「ん、ならよかった」


髪乾かして歯磨きしたらもう寝よう、って湯船に浸かりながら頭の中で立てていた計画は崩れてしまったけど。ドライヤーをかけながら何度かウトウトして机に頭をぶつけそうにもなったけど。

でも、電話がかかってきた時点で眠気なんてもの、とっくに覚めているのに。


歩く度に水瀬の腕から提げられたビニール袋がカサカサと音を立てている。触れそうで触れない。それくらいの距離感がとてつもなくもどかしい。



「あ、溶けるよ」
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