ソーダ水に溺れる

「……水族館に行くの」

「うん」

「館内をゆっくり回ってペンギンショーを見て、」

「イルカじゃなくて?」

「ペンギンがいい」


そこは重要なの、と断言すれば、ふはっ、と息を吐いて「それで?」と聞かれる。


「それから、その水族館限定のご飯とかデザート食べて」

「ほー、」

「それで、ぶらぶら〜って歩いてお土産コーナーに行ったあと……」

「へー」


前を向いたままソーダバーを食べている水瀬。最後の一口を食べ終わるのを横目で見ていると、ふいに水瀬がこっちを見て視線が交わる。


「……聞いてる?」

「聞いてるよ」


テキトーな返事。
あー、ハズレだ、と零して棒をビニール袋の中に入れる彼はほんとうに聞いてるのか聞いてないのか。

それでも「続けて」と促す水瀬にあたしは素直に従うことにした。


「最後に、隣接されてる遊園地の観覧車にでも乗って、夜景を一望するの」

言い終えて、隣を見る。
< 15 / 17 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop