ソーダ水に溺れる
「……水族館に行くの」
「うん」
「館内をゆっくり回ってペンギンショーを見て、」
「イルカじゃなくて?」
「ペンギンがいい」
そこは重要なの、と断言すれば、ふはっ、と息を吐いて「それで?」と聞かれる。
「それから、その水族館限定のご飯とかデザート食べて」
「ほー、」
「それで、ぶらぶら〜って歩いてお土産コーナーに行ったあと……」
「へー」
前を向いたままソーダバーを食べている水瀬。最後の一口を食べ終わるのを横目で見ていると、ふいに水瀬がこっちを見て視線が交わる。
「……聞いてる?」
「聞いてるよ」
テキトーな返事。
あー、ハズレだ、と零して棒をビニール袋の中に入れる彼はほんとうに聞いてるのか聞いてないのか。
それでも「続けて」と促す水瀬にあたしは素直に従うことにした。
「最後に、隣接されてる遊園地の観覧車にでも乗って、夜景を一望するの」
言い終えて、隣を見る。