ソーダ水に溺れる
「案外ロマンチスト?」
「だから言いたくなかったんだよ」
そんな類のこと言われると思ってた。
大学生にもなってこんな、中学生が考えるようなデートプラン。水瀬はさぞかし大人なデートをしているんだろう。そう考えたら自分がとても幼稚に思えて、もう、なんか今になって恥ずかしい。消えてしまいたい。
「参考になんかならなかったでしょ」
気を紛らわすためにソーダバーを食べる。半分以上も残ったままのそれは、溶けかけていて慌てて口元へ運んだ。
やっぱり、夏に食べるアイスも悪くないかなあ。
「いや、なったよ」
今の話のどこに……と思っていれば「じゃあさ、」と頭上から声が降ってきた。
「明日行く?」
「……ん? どこに?」
「水族館」
なんの躊躇いもなく放たれた言葉。
考えても一向に話の意図が見えなくて「は、」と気の抜けた音を洩らせば、水瀬が言葉を重ねる。