地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~


 な。

 なななななな!?

 なんてことしてくれるのよこの迷惑双子はぁ!?


 いや、久保くんと違って二人からはちゃんと好意は感じるよ?

 それがどういうタイプのものかは良く分からないけれど。


 でもね、ここ階段のど真ん中。

 一階にいる人達からはすごくよく見える位置。


 ただでさえ注目されやすいのに、今彼らは手にキスをするという暴挙に出た。


 案の定階下ではその瞬間を見てしまった多くの人達が(ざわ)めいている。

「うそでしょ? あの女嫌いの双子が!?」

「手を繋いでるだけじゃなくてキスした? え? 何これ幻覚?」


 へー明人くんと勇人くんって女嫌いだったんだー。

 なのにあたしのことは気に入ってるって?

 そりゃあ他の生徒から目の敵にされるわけだよねー。


 なんて現実逃避気味に思ってみる。

 まあ、当事者なので全く逃避にはならないんだけれどね。


 あたしはそのまま様々な色の視線に耐えながら食堂を抜けていく。

 明人くんと勇人くんが壁になっていて少しはマシだったけれど、もとはと言えばこの二人のせいなんだから感謝は出来ない。


「あーあ、何で俺達と美来ってクラス違うんだろ」

 教室に戻るまでの道のりで勇人くんが不満げに声を上げる。


「っとにな。かなちゃんと交換しねぇ?」

 そして明人くんが出来るわけないことを口にする。
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