地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
明人くんと勇人くんって、不良だし血の気が多そうに見えるけど案外道理を分かってるよね。
相手の言うことがその通りだと思ったら不満はあっても素直に従うし。
そういうところはちょっと好感が持てるなって思った。
「じゃ、またなー美来」
「放課後も会えるといいな」
「あ、ははは……」
周囲の視線が痛いからあたしはあまり会いたくないけれど……。
だから明確な返事は避けておいた。
そうして二人が離れていくのを見ると、高志くんも離れていく。
あたしはそんな高志くんを慌てて呼び止めた。
「あ、高志くん。あの、ありがとう」
彼にとっては義務だとしても、事実助かったのでお礼を伝える。
すると高志くんは少しだけこちらを振り返り、眼鏡の位置を直しながら言った。
「別に、指示に従ったまでです」
それだけを口にすると彼はB組を通り越してその先へと歩いて行く。
高志くんはA組なのか。
確かA組は進学クラスで、教室が少し離れた位置にあったはずだ。
彼とはあまり会うことはないかもしれないな、とだけ思ってあたしは自分の教室に入って行った。