地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 同じものを食べて、美味しいなって言い合えれば緊張もほぐれるかと思ってちょっと強引に勧める。

 そんなあたしの勢いの吞まれたのか、久保くんは戸惑いを前面に押し出しながらもゆっくり口を開いた。


 パクッと食べてくれてホッとする。

「美味しいでしょ?」
「……ん……美味いよ……」

 何故かすっごく顔を赤くして口元を押さえているけれど、あたしの目論見通り美味しいと同意してくれた。

 あたしは「でしょう?」と笑顔で言いながらまた自分の分のティラミスを食べる。

 うん、やっぱり美味しいね。


「なっ⁉ 美来、お前っ」

 美味しいものを食べ合って緊張もほぐれたと思ったんだけど、何故か久保くんの方は更に顔を赤くさせて驚きの声を上げる。

「え? 何? そんなに顔赤くしてどうしたの?」

 あたしの方が驚いちゃうよ。


 久保くんは赤い顔のまま視線をさ迷わせて何かを言おうかどうか迷っている様子だった。

「……その、お前……気にならねぇの?」
「へ? 何が?」
「だってそれ……」

 と、あたしのスプーンを指差す久保くん。

 続いた言葉に、あたしは数秒思考停止した。


「かっ間接キス、じゃねぇの?」
「……」

 数秒経って理解した途端、あたしも顔がカァッと熱くなる。
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