地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
「……これはもう少し詳しく調べてみないとね」

 呟き、思案する。

 人物は特定出来たが、結局目的はハッキリしない。
 何のために《月帝》と《星劉》を対立させたいのか……。

 それとも《月帝》と《星劉》というより、司狼と怜王を対立させたいのか?

 ……そっちの方向から調べてみてもいいのかもしれない。


 今回のあいつの動きは何らかの“焦り”が感じ取れた。
 このまま、またしばらく動きがないというのは楽観視しすぎだろう。

 また何かやらかすかもしれないと思った方がいい。


 そこまで考えて、ふと一人の女の子の顔が浮かぶ。

 美来さん。

 俺達の心を奪った《かぐや姫》。

 彼女のおかげで暴走し始めた抗争は止められた。

 もしかしたらあいつは美来さんを恨んでいるかもしれない。
 二度も計画を潰された邪魔者として。

「……」

 そこに思い至ると苦い顔になる。
 二年前はともかく、今回は俺が頼んだことでもあるから……。

 恨まれて、何かされないか心配になる。

 巻き込まれて嫌な思いをしなければ良い。

 ちゃんと守らなければ、と思った。


 ……でも、それはさておき。

 最近の彼女の様子を思い出すと少々おもしろくない。
 いや、とても面白くない。
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