地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
「決定的だったのはそうだけど……その前、お前が《月帝》の下っ端を蹴散らしてるところを見たからだろうな。……あのときの美来、すげぇ綺麗で……見惚れた」
でも、久保くんの話だとそれよりも少し前からだったらしい。
初めて聞く話に、あたしはちょっとドキドキしながら耳を傾けた。
「でも多分、本当はもっと前から惹かれてたんだと思う。……じゃなきゃ、八神さんにセフレにすんのダメだとか言われた時点で諦めてただろうからな」
「……」
……そういえば八神さんにたしなめられた後の久保くんは、カノジョなら良いんだろ? とか頓珍漢なことを言っていたっけ。
あのときの呆れも思い出しつつ、あたしは黙って続きを聞いた。
「とまあ、そうやって惹かれていたところにお前の素顔だろ? インパクト強すぎなんだよ」
「インパクトって……」
「本気で妖精かもとか思ったんだぞ? 触ったら消えちまいそうな気がして、怖かったんだよ……」
笑いたきゃ笑え、と頬を染めて視線を逸らす久保くん。
そんな彼の腕にそっと触れて、「笑わないよ」と伝える。
「惹かれている相手が消えちゃうんじゃないかっていう怖さは、結構分かるから」
そう口にして思い出すのは文化祭前日の夜――二度目の抗争のときのことだ。
刃物がギラついて、久保くんの腕が血に染まって……嫌だと思ったあの気持ちはまだ鮮明に思い出せる。
でも、久保くんの話だとそれよりも少し前からだったらしい。
初めて聞く話に、あたしはちょっとドキドキしながら耳を傾けた。
「でも多分、本当はもっと前から惹かれてたんだと思う。……じゃなきゃ、八神さんにセフレにすんのダメだとか言われた時点で諦めてただろうからな」
「……」
……そういえば八神さんにたしなめられた後の久保くんは、カノジョなら良いんだろ? とか頓珍漢なことを言っていたっけ。
あのときの呆れも思い出しつつ、あたしは黙って続きを聞いた。
「とまあ、そうやって惹かれていたところにお前の素顔だろ? インパクト強すぎなんだよ」
「インパクトって……」
「本気で妖精かもとか思ったんだぞ? 触ったら消えちまいそうな気がして、怖かったんだよ……」
笑いたきゃ笑え、と頬を染めて視線を逸らす久保くん。
そんな彼の腕にそっと触れて、「笑わないよ」と伝える。
「惹かれている相手が消えちゃうんじゃないかっていう怖さは、結構分かるから」
そう口にして思い出すのは文化祭前日の夜――二度目の抗争のときのことだ。
刃物がギラついて、久保くんの腕が血に染まって……嫌だと思ったあの気持ちはまだ鮮明に思い出せる。