地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~

 ドアから出られそうにないと判断したあたしはそこから出るのを早々に諦めた。

 幸いここのトイレは上部分が空いている。

 便座の上に立って、ふちに手をかけると思い切りジャンプして隣の個室に降りた。


 そこから出て今まで入っていた個室のドアを見ると、粘着力の高いガムテープが何重にもなって貼られていた。


 こりゃあ簡単には開かないわけだ。


 呆れと、ちょっとの悲しさを軽いため息で吐き出し、あたしは何事もなかったかのように教室に戻る。


 すると明らかに驚いた女子が数人いて、トイレの方にバタバタと向かっていく。

 それを見たあたしは、丁度他の子たちと話をしていてまだ教室に残っていた畠山先生のもとへ向かった。


「先生、さっきトイレに行ったら何かいたずらしていた子がいて……。今ならまだいると思うのでちょっと見てもらえますか?」

 あたしは用事があるので帰りますが、と言って畠山先生をトイレに向かわせる。


 カバンを持って廊下に出たところで、畠山先生の大声が聞こえた。

「お前ら何やってるんだ!? 全部はがすまで帰るなよ!?」


 ちゃんと真犯人があのガムテープを片付けることになったようで良かった。

 あたしはやりたくないって思ったし、とばっちりで別の子がやらされたりしても気分悪いしね。


「あの子たち、これで懲りてくれればいいんだけれど……」

 そう呟きながら、無理かもなぁって思った。
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