地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 隣のクラスを見ると奏の姿がない。

 カバンも無いみたいだけど、もう行っちゃったのかな?

 電話しようかと思ってスマホを出すと、奏からメッセージが届いていた。


《先に学校出てる》

 シンプルな一言。

 あたしも《分かった》と簡潔に返事を打って送信すると、学校を出るために生徒玄関に向かう。



 校舎から出て、敷地外に出る校門の辺りに奏はいた。

「ここで待ってたの? もう寮に帰ったのかと思った」

 そう言って駆け寄ると、奏は「ちょっと心配だったからな」と答える。


「遅いなと思って教室見に行ったらカバンはあっても美来いなかったし。何かあったのかなーって」

「あー分かっちゃった? ちょっとトイレに閉じ込められちゃって」

「ああ、そういう感じか。まあ、昼のアレを見て懲らしめずにはいられなかったってとこか?」

「そうだろうねー」

 普通の世間話のようにそんな会話をしながら歩くあたし達。


 どうやって出てきたのかって聞かない辺り奏は良く分かっている。

 そして、あたしだって奏のことは分かっている。


「で? 奏は何されたの?」

「あ、やっぱバレたか」

 と、いたずらっぽい笑顔を見せられた。

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