地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
何もなかったならあたしのカバンがあると分かった時点でそのまま待っていたはずだ。
でも外に出たってことは、奏は早く学校から出たかったってこと。
何かあったに決まってる。
「って言っても大したことされたわけじゃないぞ?」
「でも早く学校から出たかったんでしょ?」
「まあ。ただ、取り囲まれて『あんたの妹どうにかしてくんない?』って詰め寄られただけだよ」
女の集団っていつ見ても怖いよな。何て苦笑いしている。
「あちゃー、ごめんね?」
あたしは眉を寄せつつ軽い感じで謝る。
「悪いと思うならもうちょっと考えてから行動しろよな?」
「へへっ、いつも苦労をかけますオニイサマ」
と冗談っぽく言ったら小突かれてしまった。
そんな感じで、何事もなかったように買い出しも終えたあたし達は第一学生寮に夕食を食べに行く。
しのぶとも合流して、明日あたりカラオケに行こうと約束をした。
「楽しみだなぁ。《シュピーレン》の生歌」
しのぶはそう言いながら鼻歌を歌っている。
ここ最近は引っ越しや転入手続きでカラオケも行けていなかったから、あたしも楽しみだ。
しのぶに音痴だとは思われたくないし、今日は少し発声練習でもしておこうかな、なんて考えながら今日の学校生活を終えた。