地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
そして翌日。
しのぶとの約束の時間に合わせて部屋を出ると、丁度奏も出てきたところだった。
「そういえば他の第二寮生って全く見ないよね? 本当にいるのかな?」
階段を下りながら奏とそんな世間話をする。
「まあ、物音はするんだからいるだろ。生活する時間帯が違うんじゃないか? 登校時間とか」
「そうだね」
どんな人が住んでいるのか少し気になったけれど、今は学校に慣れることの方が大事だったからあまり気にしないことにする。
それより今日のことだ。
しのぶはかなり張り切っていて、昨日のうちに十一時からフリータイムでカラオケの予約を取ったと言っていた。
だからあたし達も今日は思い切り歌うぞー! ってテンションだ。
久々だから喉枯れなきゃいいなって思うけれど。
待ち合わせ場所の駅に着くと、二人でしのぶの姿を探す。
すぐに見つけたけれど、状況が良くなさそうだった。
何があったか分からないけど、しのぶはちょっとガラの悪そうな人たちに絡まれていたんだ。
「奏、出番だよ」
「言われなくても」
言うが早いか、奏はすぐにしのぶのもとへ急いだ。
あたしは様子を見るためにも少し離れて後を追う。