望月先生は甘くない ~年下ドクターの策略~

浮気をしていたことだけを知って、離婚できればそれでいい。
俺はそう思いながら、目の前に資料を突きつける。

そこには女とホテルに入る様子。そこでの会話の記録などが鮮明に記されている調査書だった。

それを見て大林の顔がみるみるの青白くなるのが解る。

「これでもまだ離婚の言い逃れをしますか?」

低く感情の無い声で問いかければ、大林はフッと笑い声をあげた。

「絢美ならわからないと思ったんだが、気づいてのか。しまったな」
悪びれる様子もなく、目の前のコーヒーに手を伸ばしながら大林が不敵な笑みを浮かべる。

「世間知らずのお嬢さんだと侮ったんでしょ?」
俺の問いに大林は答えなかった。

「これはまだ一部ですよね。絢美と結婚が決まる前にも、長く付き合っていた女性がいたのでしょ?」

柚葉さんの話などしたくない気持ちと、すこしだけ聞きたかった気持ちが戦い、聞きたい気持ちが勝ってしまった。

口から出た言葉を取り消さずにいると、目の前の大林は少し考えるような表情をした。
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