望月先生は甘くない ~年下ドクターの策略~

初めて見るその表情に、私は何も言えずにただ自分の身体を隠すようにシーツを上げた。
そんな私を睨みつけていた望月君だったが、小さく息を吐いて立ち上がった。
「気分は?」
「あ……大丈夫です」
何故か敬語になってしまい、小さく俯けばそっと私の腕を取る。
「なっ」

何をするの? そう思うも脈をみていることに気づき私は黙り込んだ。
アルコールの匂いをさせた私を心配してついてくれていたことにようやく思い当たり、申し訳なさが募る。

「ごめんなさい」
静かに言葉を発すれば、ため息交じりの声が聞こえた。

「誰とこんなに飲んだんですか?」
いつも通りの声音に少しは怒りがおさまったのだろうか。そう思いながらもなぜか無性に悲しくなってきた。
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