望月先生は甘くない ~年下ドクターの策略~
今までの彼ならば、「僕、パスタが食べたいです」そんな答えが返ってくるはずだ。
「あっ、でも望月君、お酒飲めないし、どこか洋食屋さんとかそういうものがいい?」
先手を打つべく提案するも、彼はチラリと私に視線を向けた。
「飲めないんじゃなくて、飲まないんです」
その意味深な言葉に、望月君を見れば涼しい顔をしている。
「みんな弱いって……」
「そう思わせておいた方が楽だし、めんどくさくない」
淡々と口にしたセリフに呆然としつつ、私はそのまま運転する彼を見ていた。
「呼び出しがかかった時に、飲んでたら対応できないでしょ」
ため息交じりのそのセリフに、そのために飲まないとわかり私は反省する。
どこまでも彼は責任感のあるドクターなのだ。
「そうだよね」
「でも、今日はすべて頼んできたし、飲みますよ」
その意味深な言葉に私はドキっとしてしまう。
「明日は土曜日、柚葉さんも飲めますよね?」
その問いに、私は答えることができなかった。